2021年度に始まった共通テストの英語では事実と意見を区別する問題が出題されました。
事実と意見を区別することは、論理的思考の基礎となる重要なスキルです。
今回の記事では、なぜ事実と意見を区別することが論理的思考において大切かを説明します。
事実と意見をテーマにした過去記事:
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3段論法の前提は事実でないといけない
以下は2018年に書いた記事を編集しました。
Twitterで、3歳の子の、親もタジタジな主張を見かけました。
うろ覚えなので、少し表現が違うかもしれませんが;
わがままを言う子は赤ちゃんだ。
パパはわがままを言う。
よってパパは赤ちゃんだ。
と言う主張でした。
そしてこの主張にどう対処すれば良いのか ??・・・という内容でした。
3歳にして3段論法とはすごいですね!
3段論法とは、アリストテレスが提唱した論理的推論の型です。
以下が代表的な例です。
- 大前提:全ての人間は死すべきものである。
- 小前提:ソクラテスは人間である。
- 結論:ゆえにソクラテスは死すべきものである。
さて、このツイートのネタに真面目に答えると、
前提を疑え!
です。
3段論法は前提が真であるときしか成り立ちません。
(真であること=事実です。細かくいうと、事実の中には真と偽があります。)
上の例の場合、
「わがままを言う子は赤ちゃんだ」と言う大前提は主観(意見)であり、事実ではありません。
「パパはわがままだ」と言う小前提も主観(意見)であり、事実ではありません。
よって正しい結論は導かれません。
*意見と事実を見極める。
*前提を疑う。
というクリティカルシンキングが必要ですね。
ひろゆきを論破する
正しい結論を導けていない
三段論法について調べていたところ、論破王・ひろゆき氏の記事がでてきました。
「A=B B=C よってA=Cが理解できない人が多すぎる。」というのが彼の主張でした。
ここで彼が言う、A=B B=C よってA=C は3段論法です。
(正しくは、A=C B=A B=Cとなるべきです。)
ひろゆき氏の例えは以下の通り。
大前提:りんごは果物だ。
小前提:果物は甘い。
結論:よってりんごは甘い。
正しくは、
大前提:果物は甘い。
小前提:りんごは果物だ。
結論:よってりんごは甘い。
となります。
この例え、前提である「果物は甘い」は意見ですよね。
甘いと感じる人もいれば、甘酸っぱいと感じる人もいる。
なので、この前提は真ではありません。
別の視点からも説明します。
ここでは省略してありますが、本来この前提は「すべての果物は甘い」になります。
アボカドのように甘くない果物もあるので、この前提は真ではありません。
つまり、ひろゆき氏がだした例は、前提が真でないため、正しい結論は導けないのです。
「りんごは甘くない」と感じる人もいますよね?
ひろゆき氏は三段論法の基礎をよく理解していないので、彼の三段論法を利用した主張は正しく結論を導けていない可能性があります。
そういう時は、「それってあなたの感想ですよね?」とツッコミましょう。
論点ずらし
事実と意見からは話がずれますが、ひろゆき氏の論点ずらしについても書いてみます。
ひろゆき氏は、
「ひろゆきの議論の仕方は”論点ずらし”と言われますが、それについてどう思いますか?」
という質問に対して、
”りんごは甘い”という議論をしている時に、「”梨は甘い”からりんごも甘いでしょ。」と言うと、「なんでりんごの話をしている時に急に梨の話をするの?」と言う人がいるけど、そう言う人は「A=B B=C よってA=Cが理解できない人」だと述べています。
でもリンゴは甘いという結論を3段論法を使って導くときに(A=りんご、B=果物、C=甘い)、梨というABC以外のDの要素を持ち出すことは、論点ずらし以外の何ものでもありません。
最後に
共通テストの英語で出題されるようになり、認知が広まった事実と意見の違い。
事実と意見の区別ができるようになると、論理的思考やクリティカルシンキングができる様になります。
実社会で役立つスキルなので、ぜひ多くの方に習得してほしいと思います。