先日、初めての「大学入学共通テスト」が行われました。
英語(リーディング)に関しては、去年までセンター試験で出題されていた、発音・アクセント問題、文法・語法問題、整序英作文問題などがなくなり、読解問題のみになりました。
また、今までにはなかった「事実と意見を区別する問題」が出題されました。
この「事実と意見を区別する問題」ですが、今までにない問題形式だったので、「分かりにくかった」という声も聞こえてきました。
事実と意見の見極めができれば、悩まずに解ける様になるし、何よりも事実と意見を区別することは私たちが生きていく上で大切なスキルなので、ぜひ多くの方に身につけてほしいと思います。
今回の記事では、事実と意見 (fact or opinion)について説明するとともに、学び方を紹介します。
事実と意見の違いは?
事実と意見の違いは以下の通りです。
事実 (fact):
- 観察や調査によって、客観的に真実だと証明できるもの
- 過去に起こったこと
- 普遍的
- ディベートの対象とならない
意見 (opinion):
- ある人の何かに対する判断、意見、信条
- 推論や個人の見解によってもたらされる主観的なもの。
- 人によって変わる
- ディベートの対象となる
Fact vs Opinion Resource by Lakehead University を参考にしました。
我が家の子供達が通っていたアメリカの小学校では、低学年から事実と意見を区別する訓練をしていました。
次男がキンダー(年長)の頃、raz-kidsという学習サイトで、様々な時計を紹介する本(”It’s about time”)を読んでいました。
読み終わった後、10問ほど設問に答えるのですが、その中一つにfactに関する設問がありました。
以下が、その設問と選択肢です。
Which of the following is a fact?
下のうち事実はどれでしょう?
1. Cuckoo clocks are too noisy.
はと時計はうるさすぎる。
2. Analog clocks are better than digital clocks.
アナログ時計はデジタル時計よりも良い。
3. Water clocks are easy to make.
水時計は作るのが簡単だ。
4. Sundial have a pointer and a base.
日時計は棒と文字盤がある。
さて、どれがfact(事実)でしょう?
答えは4ですね。
あとは全て意見です。
うるさい (noisy)、より良い(better)、簡単(easy)はどれも主観的です。
ある人にとっては水時計を作るのは簡単かもしれませんが、別の人にとっては難しいかもしれません。
感じ方は人によって異なりますよね。
事実と意見を区別できるようになるためには
まずは、短いセンテンスを使って事実と意見を区別する訓練をするとよいと思います。
インターネット上には、たくさん無料のワークシートがあります。
例えば、私は小学生向けの英語レッスンで下の様なアクティビティ を使いました。
センテンスを読んで、それが「fact」か「opinion」かを区別するするわけですが、最初のうちはその区別が分からず間違えてしまう場合が多いかもしれません。
そういう場合は「どうしてそう思うの?」という質問をし、会話を広げながら、説明してあげましょう。
例えば、Christmas is the best holiday. というセンテンスがあったとします。
これは、「opinion」ですが、もし、お子さんが「fact」だと思ったら、
「どうしてそう思うの?」と理由を聞いてみましょう。
「だってクリスマスは楽しいから」などの理由が出てくるかもしれません。
そうしたら、
「そっか、●●ちゃんはクリスマス楽しいから、the best holidayと思うんだね」
「じゃ、他の人もみんな同じように思うと思う?」
「例えばグリンチはどうかな?」
(グリンチはクリスマスが嫌いです。)
などと、会話を広げ、人はそれぞれ考え方が違うので、ある事に対して、みんなが自分と同じように感じるとは限らないということに気づかせることが大切です。
Pinterestに、fact or opinionのワークシートをまとめていますので、そちらも参考にしてみて下さい。
Sep 9, 2021 - Explore mrs. Y's board "Fact or opinion" on Pi…
事実と意見 注意点
fact or opinion の練習問題を見ていると、答えは「fact」となっているけれど、「opinion 」ともとれる問題を時々に見かけます。
例えば、The sky is blue.
これは、答えは「fact」となっていますが、いろんな解釈ができると思います。
うちの子ども達、英語レッスンの生徒さん、友達などに聞いてみましたが、解釈は以下の通り人それぞれでした。
*factである
*「昼間と限定するなら」factといえる。
*雲が覆っているときは空は白く見えるので、opinionである。
*朝の空は暗く、昼の空は青く、夕方の空は赤く、夜の空は真っ黒なので、factとは言えない。でももし今見ている空が青かったらfact と言える。
*色の感じ方は人それぞれ。晴れた昼間の空でも、その色を「青」と思う人もいれば、「ターコイズ」と思う人もいるのでopinion。
それぞれ違う解釈ですが、どれも「なるほど~」と思えますよね。
こういう場合、正解にとらわれず、「どうしてそう思うのか?」を聞いて、それが納得のいくものだったらそれでよいと思います。
「どうしてそう思うの?」の質問ですが、答えが「fact」の場合は聞かなくてもよいです。
例えば、「犬には足が4本ある」というセンテンス。
これが「fact」だと言う事は、当たり前すぎて理由は答えられませんよね。
事実と意見の違いの説明にも書きましたが、意見が「ディベートできる」のに対して事実は「ディベートできません。」
兄弟の会話 それは事実?それともただの意見?
事実と意見の区別は、家庭内の何気ない会話でも学べます。
ある日、宇宙飛行について話していた長男と次男。
2人がそれぞれ9歳、7歳だった頃の会話です。
Factだよ。だって本に載ってたもん。
ノンフィクションの本にそう書いてあるからFactだよ。
確かにアポロ11は人類が初めて月に着陸したミッションだから有名だね。
That’s one small step for man, one giant leap for mankind は有名なセリフだよね。
(アームストロングのセリフ:「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」)
でもアポロ13のミッションだってSuccessful failure って言われていて有名だよね?
アポロ13のことを the most famous mission って思う人だっているはずだよ。
長男が言う通り、ノンフィクションの本に書いてあるからといってそれがすべて事実とは限りません。
事実に基づいた著者の解釈(opinion)も含まれていますね。
次男は長男との会話により、そのことに気がついたようです。
事実と意見の訓練が大切なわけ
fact とopinionを区別する訓練を通して、一つの事実に対しての解釈はたくさんあるということ、その事実に対する意見は人それぞれだということがわかってきます。
意見は人それぞれで、どれが正しいというわけではないのです。
意見は人それぞれということを理解できると、自分の意見を尊重し、それを主張し、さらに相手の意見を尊重する事ができるようになります。
また、誰かの意見(たとえそれが専門家の意見であっても)を鵜呑みする事も少なくなります。
誰かの意見は、それはその人の解釈であって、「事実」ではないのだから。
と言うわけで、大学入学共通テストに出題されるからという理由だけでなく、豊かに生きるために大切なスキルとして、多くの子供達に事実と意見を区別するスキルを学んでほしいと思っています。
最後にfact or opinionのワークブックを紹介します。
私は小学生向けの英語のレッスンでこのワークブックを使っていまいた。
現在アマゾンで購入すると19000円以上もします。
私はScholasticのサイトでダウンロード購入しました。
下のワークブックはKindle Unlimited
対象となっています。