ロンドン郊外の我が家の周辺ではホームレスの人をあまり見かけませんが、ロンドン中心部へ出かけるとよく見かけます。
先日、観光地の最寄り駅から地下鉄に乗っていた時のこと。
ホームレスが私がいた車両にやってきて、
「私は、家もなく、お金もなく、食べるものもありません。どうか皆さん、小銭でいいので恵んで下さい」
という内容のスピーチを始めました。
小銭がない
スピーチ中も、スピーチ後も周りの乗客は下を向き、そのホームレスに目を合わせない状態でした。
「関わりたくない」という気持ちがある人もいると思いますが、「小銭をもっていないからあげられない。」という人もいるのではないかと感じました。
キャッシュレス化が進んだロンドンでは、お金を持ち歩かない人も多く、私もその一人です。
一応財布に20ポンドは入れていますが、キャッシュはそれだけで、小銭は持ち歩いていません。
こういう状況なので、あげたいという思いはあるけれど、あげられないという人も結構いるだろうと思います。
キャッシュレス化が進むと、ホームレスの生活はますます厳しくなりそうですね・・・。
調べてみたところ、Unifyという企業が、スマホアプリを使って寄付する仕組みを作っているようです。
ホームレスにリストバンドを渡し、寄付をしたい人は、そのリストバンドをアプリで読むことにより好きな金額を寄付できるようです。
また、支援したい地域を選び、その地域にいるホームレスにお金をおくることもできるとのこと。
ただ、Unifyのtwitterのフォロワーが105人しかいないところをみると、あまりこの制度は定着していないのかもしれません。
人種の違いによって異なる対応
結局、だれもそのホームレスに小銭を渡す人はいませんでした。
そのすぐ直後、また別のホームレスがやってきて、スピーチを始めました。
スピーチの内容は、その前のホームレスと同じような内容。
また今回も皆スルーするのだろうなぁと思った瞬間、一人の青年がポケットから小銭を取り出しそのホームレスに渡しました。
そして、その後、50代ぐらいの女性が、そのホームレスに話しかけ、二人はしばらく話し込んでいました。
話している内容は聞こえませんでしたが、ホームレスの支援施設やサービスについて教えていたのではないかと思います。
さっきとの差は何???
乗客は同じメンバーです。
ホームレスの二人は、見た目は(私には)同じように見えました。
同じぐらいの年齢、背格好、性別。
二人ともそれなりに清潔感もあり、街であってもホームレスとは気づかないぐらいの身なりでした。
しばらく考えて、二人の違いに気がつきました。
それは、最初のホームレスは褐色の肌で(インド人っぽく見えました)、二人目のホームレスは白人でした。
そして、援助をしてくれた二人は共に白人です。
ホームレスが受けられる援助において人種間格差が存在するのかも?と思いました。
多様性は進んでいるけれど
ロンドンに来て、想像していた以上に多様性が進んでいました。
街には様々な人種の人々がいます。
スーパーやレストランで、アジア人ということで、嫌な対応をされたことは今のところありません。
アメリカに住んでいたころは、相手によって態度を変える、感じの悪い店員にあたることもあったんですよね。
ロンドンではそういう人に遭遇する割合が少ないと感じています。
(もちろん、人種差別をする人もいると思いますが、私のような駐在妻が日常の生活を送る分には、そういう人にあまり出会わないという意味です。)
でも、今回の出来事をみて、無意識的な人種差別はあるなぁと感じたところです。